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100円の茶筌と1,500円の茶筌。どっちを選ぶ? 奈良シニア大学で考える日本の心

今日は、奈良シニア大学の授業日でした。授業テーマであった、「茶筌(ちゃせん)」について考えたいと思います。茶筌とは、お抹茶を点てる道具のことです。僕は、1年ほど前から、茶道の先生の心に惹かれて、茶道を始めました。茶道は日本文化の集合体とも言われているらしく、その意味と価値を理解するにはまだまだ早すぎるかもしれませんが、タイミングなので、少しばかりか考えてみたいと思います。

 

 

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茶筅と茶筌の違い

「ちゃせん」と入力すると、茶筅と茶筌2つが出てきます。では、何が違うのでしょう。纏めるとこんな感じです・

茶筅 = 物を洗う道具の意味合い

茶筌 = お抹茶を点てる意味合い

茶筅 

先ず、茶筅の方から。茶筅の『筅』は、「ささら」に通じます。「ささら」とは単に竹を割って紐等で縛っただけの物、桶、樽等を洗う道具のことです。つまり、「茶筅」となると、意味が物を洗う道具になってしまいます。

 

茶筌

一方の「茶筌」はお茶を点てる為にのみに作られた茶道具の一つで、美術品のように美しく仕上げられてます。よって、物を洗うものではなく、お茶を点てる茶道具としての意味合いが大きいと言われているそうです。

 

 

国産シェア約100%!奈良の高山茶筌の歴史

高山茶筌は、今から約500年ほど前、室町時代の後期に奈良の生駒高山で生まれました。現在の高山町は、足利義政の時代に「大和国添下郡鷹山村」と呼ばれていました。鷹山大膳介頼栄が、1万8,0000石あるの地を支配していました。

※10kgの米が5,000円だとしたら、1万8,000石は約13億5,000万円分の土地となります。

 

その頃、奈良水門町に住んでいた民部丞宗砌(みんぶのしょうそうせつ)=鷹山宗砌は、連歌、和歌に優れた竹林抄の一人として、また、勅筆流書道の達人として広く知られていました。近くに住む称名寺ゆかりの茶人、村田珠光とは親交が厚かったと言われています。珠光が初めて茶道を考案した時、茶道に相応しい、道具の製作を依頼され、宗砌が苦心を重ねて作り上げたのが茶筌の始まりでした。

  

その後、村田珠光が京都に移り、後土御門天皇珠光庵に来られた際に、宗砌より献上の自作の茶筌を見られて、その着想と精巧なる技術をお賞めになり、加えて“高穗”の御銘を与えられました。宗砌は感激して、茶筌の製作に励むと共に、郷里の鷹山に持ち帰って鷹山家の秘伝としました。


その後、御銘の高穗茶筌が有名になり、時の領主は、鷹山を廃しして、高穗に因んだ高山に改めました。その後、 珠光によって始まった茶道も、千利休によって侘び茶として確立され、現在の茶道の礎となりました。

 

まとめ

鷹山宗砌 → 「高穂」となる → 高山宗砌

 

茶筌の作り方

工程を簡単にまとめるとこんな感じで、8工程あります。

  1. 原竹(げんちく):冬に切り出した2、3年の淡竹を切断する
  2. 片木(へぎ):竹の表皮を剥いて、16割にする
  3. 小割(こわり):16割した竹をさらに6:4で割る
  4. 味削り(あじけずり):穂先を湯に浸して先にかけて薄くなるように削る
  5. 面取り(めんとり):削った竹穂の1本の両角を削って角を取る
  6. 下編み・上編み(したあみ・うわあみ):糸で編んでいく
  7. 腰並べ(こしならべ):茶筌の大きさを決める
  8. 仕上げ(しあげ):形を整える

 

詳しいことが分からない皆さん、イメージしてください。

 

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↑こんな竹を切って、

 

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↑こんな感じにして

 

1本1本全て職人さんの手で、先程の8工程を済んだらこうなります。

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工程≠作業。工程=心遣い。

ただ単に、竹を削っているのではなく、茶筌を使ってお茶を楽しんでもらうことを常にイメージしながら1つ1つ丁寧に茶筌を作っていらっしゃいます。

 

例えば、先程の工程4の「味削り」という工程。お湯に浸して先に向かって削るわけですが、何故かというと、お抹茶を点てている時に折れてしまってはいけないからだそう。先にかけて細くすることで、先から順番に減っていくような仕組みになっているので折れることはないようです。

 

他にも、先程の工程4と5の間に「しごき」という工程があります。お茶を点てる時に、あらゆる方向に曲がっても折れにくくするものです。この作業で、お茶の味が変わると言われているほどに大切な作業だそう。お茶が細かな泡をたてて混ざるように、この工程に力を注ぎます。全てはお茶を楽しんでもらうために。

 

最後に、工程6の腰並べ。正直、この工程が終わったら出荷はできるそうです。でも、最後の仕上げが職人としてのプライドで、いかに美しい状態で茶筌を使ってもらうか。生産性を考えると、必要ではない作業だけど、お茶を楽しんでもらたいという一心で心遣いをされている職人さんには、ただただ脱帽です。

 

世界に誇る秘伝の技術

高山頼茂が丹後の宮津へ赴任する際に、家臣16名にだけ、秘伝の茶筌製作と販売を許可したのです。一子相伝の極秘技術として、茶筌の仲間を集結して生まれ姓を名乗る男子以外には茶筌の製作を許す事はなかったそうです。

 

昭和の時代を迎えても秘伝は固く守られて来たようですが、戦時近くになり、人手不足のために、この制度は崩れ、秘伝とされてきた技術も一般に公開されるようになりました。最近に至っては、新しい茶筌業者が数多く誕生するようにもなったのです。しかし、500年の歴史とその技術が認められ、通産大臣より伝統的工芸品と指定されたのが、現在の奈良にある高山茶筌なのです。

 

現在は、海外でも使われるようになった茶筌。どれだけ職人が頑張っても、1日に最大5本しか作れない茶筌。価格はもちろん高くつくので、安くても1本1,500円するそう。そんな中、中国では、1本1ドルで販売されていた時代があったそうです。現在も日本で販売しているものは、外国製品か高山産だけとのこと。見分け方は、このシールです。

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シールが貼ってあって、名前まで貼ってあると、高山産の国産製品であるとされます。

 

まとめ

茶筌をあまり使わない人にとって、1本1,500円の茶筌と1本100円の茶筌があればどちらを使うか。決まって、100円の方でしょう。なぜか。

 

安いから。無くなったら新しく買えば良いから。

 

でも、少し考えてみてください。壊れやすい、形だけに拘った100円の茶筌を何回も買うのであれば、1人の職人が心を遣って作った1本の茶筌を楽しんでも良いのではないでしょうか。そんな、感性があっても良いのではないでしょうか。

 

1本1本の形や肉厚が違う竹を、もし、人工知能を使って機械が大量生産できたとしたら、この産業は衰退するのか。もしそうだとしても、500年続いてきたという歴史や伝統を守ることは僕にはできません。でも、語り継ぐこと、知ることはできると思います。

 

茶筅のように値段が高いものには理由があります。心を尽くして作った製品にかけたコストが価格です。どうしても高価になります。

 

良いもの=高価

 

でも、いつからか僕たちは、高価なもの=良いもの と誤認して、

本物を見極める感性が失われてきたのでは無いでしょうか。

 

できる限り若い時に本物にたどり着くこと。

 

仕事に明け暮れる社会人生活を過ごしている人こそ、

本物に触れる時間を大切にしたいですね。

 

人生をより豊かに生きるために。

まだまだ旅は続きます。

 

 

 

 

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